手術療法

腎臓がん治療法の中心は、外科手術によって腎臓を摘出する方法です。

腎臓は左右に二つあり、片方を取り去ってももう一方が機能してくれます。ただし、残る腎臓にも障害がある場合は、がんの病巣部とその周囲だけを部分的に切除する場合もあります。


腎全摘術
腎臓がんに対しては、最も歴史の古い手術方法です。癌に侵されている腎臓全体をその周囲の脂肪組織や副腎ごと全て摘出する方法です。

手術中に腫瘍を主病巣部の周囲に取り残したり、血管の中に腫瘍片をばらまいて、転移の契機となったりしないように、腎臓の血管を先にしばった上で、腫瘍を直接見ることなく、周囲の組織ごと腎臓を摘出します。

大血管の周囲にあるリンパ節も一緒にひとかたまりとして摘出します。

腎全摘術は、腎臓がん治療の歴史的にみても最も確実性の高い手術と考えられています。現在でも、腎臓がんの患者さんの多くはこの手術を受けられています。

腹部の切開線がお腹につく場合と横腹につく場合がありますが、術後の回復の早さからみると横腹の切開の方が、予後が良いようです。



腎部分切除・核出術
腎がんの腫瘍が、小さいうちに偶然発見されることが増えてくるにしたがい、アメリカやヨーロッパを中心に実施される機会が増えてきた手法です。

がんの位置や、腎臓の血管の走行に極力注意を払って、腎臓癌の病変部だけを摘出し、正常な腎臓部分を残して温存する手術です。

腎部分切除術の切開線は、横腹につく場合がほとんどです。

部分切除術が実施されだした初期には、以前に他の病気ですでに腎臓を一つ摘出していて腎臓が一つしか残っていない患者さんや、腎機能があまり良くない患者さんに対して実施されていました。

現在では部分切除術の研究が進み、全摘術とそれほど治療効果に差がないことが明らかになってきたため、腎機能に問題ない患者さんにも実施されるようになってきています。

比較的最近行われるようになってきた手術方法ですので、予後についてや術後の生存率などの長期成績は未だ多くはありません。


開放手術と腹腔鏡下手術:
近年、内視鏡や手術鉗子・止血装置といった手術器具の発達により、腹腔鏡下手術が脚光を浴びています。

皮膚の傷が大きく残る開放手術と異なり、腹腔鏡下手術は直径5〜12mm程度の筒を数本用い、内視鏡(カメラ)、鉗子、ハサミを体内に入れて、摘出する腎臓を周囲の組織からはがして、太い血管を縛って切断し、がん細胞がこぼれないようにビニール袋の中に腎臓を入れた上で体外へと取り出す方法です。

以前から実施されていた開放手術では、おなかに大きな切開跡が残り、肋間神経や筋肉を痛めて筋肉が弱るために社会復帰に時間がかかったり、長い間傷の痛みに悩む患者さんが多くありました。

腹腔鏡下手術では手術後の回復が非常に早く、不快な症状も少なく済み予後は良好です。

腎臓がんに関しては、腹腔鏡手術は技術的に難易度が高いため、一部の施設では実施されていないので、事前に調べることをお勧めします。

また、腹腔鏡下による腎部分切除術は、止血が難しいために、腫瘍が小さくて縁の方にある場合にのみ可能とされています。

腎臓がんの検査方法

腎臓がん検査法の主体となるのは画像診断です。主に行なわれる方法としては

・腹部エコー検査(超音波検査)
・CT検査(断層撮影検査)
・MRI(磁気共鳴映像法)

などがあります。

一番手軽な検査が腹部エコー検査(超音波検査)です。近くのかかりつけ医院でも検査機械が用意されていることが多いので、心配な人は受診すれば簡単に受けられる検査です。

腹部エコー検査(超音波検査)で何か異常が疑われた場合には、CT、さらにMRI、といった検査に移ります。

また、最近では内視鏡下の手術や、腎臓がんの腫瘍の部分だけをくりぬく手術をする場合以外には行うことが少なくなりましたが、必要に応じて血管造影という検査を行う時もあります。

これらの検査を組み合わせて、腫瘍が悪性の癌であるか否か、またその進行度などが診断されますが、これらの画像診断では癌かどうかの診断がつかない場合には腎臓の組織の一部を針でとって、細胞診を行わなければ確定診断をつけられないこともあります。


腹部エコー検査(超音波検査):人間には聞こえない超音波を使ってからだのなかの臓器の様子を写し出す検査です。一番手軽な検査で、身体の上からなでるだけでかなり鮮明な画像が得られます。この検査だけでははっきりとした癌の診断はつきませんが、もっと詳しい検査を必要とするか否かの判断に用いられます。

CT検査(断層撮影検査):X線での画像をコンピューター用いて計算し、断層写真として表す検査です。
からだの中の全ての部位をみることができ、造影剤をもちいることによって、より解析力の高い画像をえることができます。
腎臓がんの診断には欠かせない検査で、病気の進み具合やや予後の診断にも重要な役割を持ちます。

MRI検査(磁気共鳴映像法):強力な磁石の中でからだの中の水分の含有率の違いによって臓器や組織の様子を画像に表す検査です。
CT検査とよく似ていますが最も大きな違いは、機械の設定によりいろいろな方向から腫瘍やその周囲が観察できる点です。
診断能力が非常に高く有用な検査です。

血管造影:造影剤を用いて、動脈や静脈などの血管の走行を調べるレントゲン検査。局所麻酔を行ったうえで、足の付け根を小さく切開し、カテーテルとよばれる細い管を血管に進めて、造影剤を必要な血管内に送り込みます。
麻酔が必要となり、身体に負担をかけるやや侵襲度の高い検査ですが、手術をするにあたり血管の走行や異常を知ることができる点で大事な検査であるといえます。
最近は、CTなどの他の検査法が進歩したため、それらの検査で情報が不十分な場合に必要に応じて行われます。

細胞診:以上のような各種の画像診断によっても、どうしても癌か否かを診断しきれない場合に、CTや超音波をガイドに腎臓の腫瘍をめがけて針を挿入し「針生検」という方法で癌細胞を一部採取し、実際に顕微鏡で癌細胞の有無を確認します。
以上の検査の結果、腎臓がんが発見された場合はCT、胸部X線検査、骨シンチ検査などが行なわれ、他臓器への転移の有無を検査します。


過半数以上の腎臓ガンは健康診断や、他の病気の検査の際に偶然発見されます。

また、早期腎臓がんにおいては血尿を伴わない場合もあるため、健康診断や内科の一般検査のときには、尿検査に加えてスクリーニング検査として腹部超音波検査を行うことも早期発見のためには大切なポイントです。

どんな症状が起きるのか?

腎臓がんの主な症状は、血尿、背中やわき腹の痛み、腹部の腫瘤ですが、これらの症状は必ずしも初期の段階では発現しません。

時には体重減少、食欲不振、発熱等の全身症状で腎臓がんが発見される場合もありますし、また転移した部分の症状から腎臓がんが見つかることもあります。

また、腎臓がんが成長すると、血尿や尿路の疼痛などの症状が出てきます。さらに貧血や体重減少などの諸症状があらわれることもあります。

腫瘍が大きくなると、リンパ節、肺、骨などの他の臓器に転移を起こしやすいため、注意深く経過を観察することが必要です。


腎臓癌は、発育が遅いがんとされ、初期の腫瘍が小さい間はほとんど自覚症状はありません。

そのため以前は、癌が大きくなりお腹に腫瘤がふれるようになったり、血尿がでたり、横腹のあたりに痛みを感じるようになってからでないと発見できないことが多く、発見されたときには既に他臓器に転移を起こし、手術も不能で処置の施しようがないことも頻繁にありました。


しかし、最近では健康診断でのエコー検査の普及や、たまたま他の病気でとられたCTで気付かれる機会が増え、比較的早期の段階で見つかるようになってきています。

このような初期の段階で腎臓がんが発見された場合は、他臓器に転移がみられることはまれであり、手術により腎臓を摘出することで根治が可能です。

しかしながら、前述のように、癌が大きくなり、腫瘤をふれたり、血尿がでたりするような時期に至った場合には、リンパ節や肺、骨などの他の臓器に転移をおこしていることが少なくなく、このような場合には転移したところに附随した症状が現れ、予後も不良で生存率も低いものとなります。

転移を生じると咳、痰、血痰などの症状が、また、転移を起こすと骨の痛みや手足のしびれがでたりします。

原因不明のがん?

腎臓がんの原因は、特殊な腎臓がんを除いては正確にはまだ解明されていないのが実状です・

腎臓の正常細胞が何故がん化するのか? という命題に、未だ正解は見つけ出されておらず、腎臓がんが何によってもたらされるかは特定されていないのです。

腎臓がんが神秘的ながんであるとされる所以です。

ですから、残念なことですが今のところ、腎臓ガンの発生を予防することは不可能とされています。

腎臓がんの発見後の治療の事を考えた場合、とにかく早期発見に努めるしかありません。

 
ただ、現在のところ、国際がん研究機関や国立医薬品食品衛生研究所の調べでは、塩化ビニルの軟化剤であるフタル酸化合物や食品添加物であるアカネ色素や、かびの一種ペニシリウムが原因の一種であると発表しています。

腎臓がんとはどんながんでしょう?

腎臓がんは、尿を作り、造血ホルモンや血圧調整ホルモンを分泌する臓器である腎臓の悪性腫瘍です。尿細管細胞から発生します。

全てのがんの中でも比較的稀ながんとされています。

最近ではフリージャーナリストの鴨志田穣さん(漫画家西原理恵子さんの元夫)や文筆家の池田晶子さんがこの病気によって亡くなられたことにより注目を集めました。

腎臓癌は、小さいうちはあまり自覚症状がないため、以前は早期発見が難しく、腫瘍が大きくなって、血尿がでたり、痛みがでたり、患者さん自身がお腹の腫瘤に気づくまで 発見できませんでした。

しかし、最近では人間ドックでのエコー検査が普及したことや、他の病気でCTがとられる機会が増えたため、 まだがんが小さい段階で見つかることが多くなってきました。もっとも約30%は発見時に転移が見られるというデータもあります。

早期の段階で腎臓がんが見つかった場合は転移がみられることはまれです。しかし、時間の経過とともに、腫瘍は次第に大きくなっていき、リンパ節や肺や骨などの他の臓器に転移をおこすことがあります。

転移が起きると咳、 痰、血痰などの症状があり、骨転移が起きると痛みや手足のしびれといった症状が現れます。


腎臓がんのうち腎臓本体に出来る腫瘍は腎細胞ガンと呼ばれ、尿が通過する腎盂、尿管、膀胱、尿道の一部は移行上皮ガンと呼ばれます。

また、腎臓がんの分類としては他に、50歳以上に多い悪性腫瘍と小児に発生するウィルム腫瘍があります。


原発巣にとどまらず多発することも腎臓癌の特徴のひとつです。どういうことかというと、腎臓に検査で1個の腎臓がんが見つかった場合、その腎臓の他の一見正常に見える部分にも画像検査では見つからない小さな癌が隠れていることがあるということです。

これを「衛星病変」と呼びます。直径4cm以上の大きな癌では約10-20%にみられるとの報告もありますが、小さな腎臓癌でも衛星病変を伴うことがあります。
 
また、手術時に癌のなかった反対側の腎臓に、のちに腎臓がんができる率も1〜2%あります

腎臓にはがん化しない良性の腫瘍ができることもあります。
また、腎臓がんでは、遺伝的に発生しやすい家系があることが確認されています。
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